-CineForge vol.2- 使用機材の挑戦

今回挑戦する作品を撮影するために、いつもは使用しない機材を多々導入しました。それは、今後同じようなコンテンツを制作できるようにするためにも必要な経験となりました。

シネマカメラの使用

普段はシステムカメラを使っていますが、今回のダンスMVの作風を作り上げるにはシネマカメラでの撮影が必要だと判断しました。そこで使用したのが、「ARRI ALEXA35」というシネマカメラです。


「ARRI ALEXA35」は、映画や高品質映像の撮影によく使用されているシネマカメラです。大きな特徴としては『とにかく映像が美しい』という点でしょうか。色の階調や明暗の幅が広く、暗いところも明るいところも自然に、そして繊細に映し出してくれます。

今回の撮影では、解像度は4.6K、24pでの収録を行いました。レンズは「ARRI Signature Prime」の7本のレンズを使用。

システムカメラとズームレンズのオペレートが多い我々にとって、シネマカメラとレンズを用いた撮影の経験は、画のクオリティチェック、キャリブレーション精度の確認ができ、とても大きな成果となりました。


マルチ収録の挑戦

4系統の映像を同時に収録することに挑戦しました。使用した機材は「Blackmagic Design HyperDeck Studio 4K Pro」です。

・カメラ画

・CG映像

・XR映像(カメラを通して合成された映像)

・Alpha画


XR撮影は収録後の加工がしずらい部分がデメリットでした。そのため、ポスプロ時の加工しやすさを提供できるようなフロー作りに向けて、大きな一歩となったと思います。


DIT・色調整

今回の撮影では、新たな試みとして、DIT(現場の映像データ管理や色の専門家)にも入ってもらいました。DITというポジションは、我々が多く携わるテレビ番組などではまだあまり入られないポジションですが、映画撮影などでは重要なポジションです。

DITは、カメラ映像のバックアップや色チェック、トラブル確認などを行う役割で、特にLEDパネルを使ったバーチャル撮影ではとても重要視されています。


今回は、映像の色をより広く、正確に扱えるワークフローを導入し、「LiveGrade」という色管理ソフトと「Disguise」という映像制御ソフトを繋げて、現場でリアルタイムに色の調整ができるようにしました。その結果、LEDパネルの映像とXRで合成するCG背景の色を、これまでより正確に揃えられるようになりました。つまり、カメラ・照明・LEDだけでは難しかった色の調整が、DITの知識と新しい仕組みで実現できたということです。

「LiveGrade」と「Disguise」の互換性も確認できたので、この色調整は我々が多く携わっているテレビ番組や配信での案件でも取り入れられると考えています。


屈指の技術スタッフ

今回の撮影技術は、ヌーベルバーグの技術スタッフではなく、映画やミュージックビデオ、CMの案件を数多くこなす外部の技術スタッフのみなさんにもご協力いただきました。テレビ番組の撮影フローと映画やCMなどの撮影フローは手順が異なります。ただ撮影をすればいいわけではない。その案件ごと、適した撮影フロー、撮影機材を揃えていくのも重要です。そのために、まずは今回のダンスMVの作品にあった撮影フローや撮影手順を見て学ぶことに注目しました。

名だたるCMやドラマ、映画を多く担当してきたDP木津さん(CONNECTION)、LightingDirectorの西ヶ谷さん(TRAVOLTA)、DITの直井さん(Film.M.I.S.S.I.O.N.)を筆頭に、たくさんの技術スタッフのみなさんのフォローのもと、今回の作品が出来上がりました。

今後は、我々ヌーベルバーグの技術スタッフでこの作品のレベルまで撮影力、制作力を上げていくことが当面の課題であり、強みに変えていける部分でもあると思っています。


次回は撮影中の見つかった課題をまとめていきます。

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