それ、本当に“コスト削減”ですか? IP・XR撮影のリアルな話
IPリモートプロダクションやXR撮影。
名前だけ聞くと、「コストも手間も削減できる、効率的な最先端技術」と思われがちです。
たしかに、新しい技術にはこれまでの課題を解決してくれる面があります。
でも実は、どこかの作業がラクになる一方で、別の工程に新しい負荷が発生しているのが現実です。
IPリモートプロダクションで“減るもの・増えるもの”
まず中継車分のコストがカットできます。さらに、中継先に持ち込む機材は減らせるし、現場スタッフも最小限に抑えられます。
その結果、現地での交通費や宿泊費をカットできることも。
しかし、IPで送られてきた映像を処理するために、スタジオ側では「サブ(副調整室)」を開く必要が出てきます。
その分、機材や人の数がスタジオ側で増えることになり、トータルで見るとコストは大きく変わらないケースも多いのです。
ただし、音楽フェスなどのイベント配信では話が少し違います。
現地スタッフが減れば、宿泊用の部屋を観客向けに回すことができたりと、運営全体に余裕が生まれるケースも。
これは数字には見えにくい、でも大きな効果です。
XR撮影も、魔法ではない
XR撮影についても同じことが言えます。
クロマキー撮影では、背景合成や色調整など撮影後の映像編集での作業に多くの時間が必要でしたが、
XRでは撮影時に背景もリアルタイムで合成されるため、ポスプロの映像編集の負荷は軽減されます。
ただその代わり、撮影前に背景CGをしっかり準備する必要があり、
現場でもカメラトラッキングの微調整などに時間がかかることも。
つまり、XRにしたからといって「準備や作業がなくなる」わけではなく、
手間のかかるタイミングが“変わる”だけなんです。
それでも、導入する価値はある
手間が減るとは限らない。コストが下がるとも限らない。
でも、それでも私たちはこうした技術に可能性を感じています。
なぜなら、表現の幅が広がる。移動や人員配置の自由度が増す。
そして何より、「次の制作の形」への土台になるからです。
n00b.stでは、こうした“技術の表と裏”をきちんと伝えるスタジオでありたいと思っています。
便利さだけでなく、運用や負荷も含めて、制作現場に合った使い方を一緒に考えていきます。