-CineForge vol.3- 撮影時の工夫、発見
多彩な技術スタッフ、最新の技術設備を用いての撮影。いつも見慣れていたLEDパネルスタジオが、一気に様変わりしました。



撮影フローが違うと、こんなにも現場のスタイルも変わるのか、というのは改めて感じました。同時に、案件に対して今後はベストなフロー制作が確立できるようになる、第一歩だったように感じています。
照明の工夫
当LEDパネルスタジオの天井までの高さは2.8m。あまり高さのあるスタジオではありません。その中で、今回は空、外を醸し出すCG世界観だったため、空の光を表現する必要がありました。そのため、天井の照明は当スタジオならではの工夫が施されての撮影となりました。
まず、レンズフレアを表現するため、上手から強い光を当てたり、壁を白い布で覆って間接光を作り、柔らかい光源を表現していただきました。また、照明の光がLEDウォールに漏れるのを防ぐため、LEDウォールのきわに幕を設置しました。


さらに、今回は空中を演者が舞い上がり、そして落ちていくという演出がありましたが、当スタジオの高さ的に、演者を浮かしての撮影は厳しいものでした。そのため背景の映像を動かすだけでなく、演者のカリムさんに照明バトンにぶら下がってもらうことで天高がないn00b.stにて空を飛んでいる演出を可能にしました。


LEDパネルスタジオでXR撮影ができるスタジオだからこその壁もありました。天井にXR用センサーが設置されているため、従来の照明調整が難しいという点です。従来のスタジオであれば、空の雰囲気を出すために、天井をディフューザーなどで覆ってしまうことが一般的です。しかし、そうするとXR用センサーとカメラがうまく連動しなくなり、XR撮影としては機能しなくなってしまうため、当スタジオならではのひと工夫をしていただきました。


この撮影段階があったからこそ見つけられた課題点であり、今後似たような撮影の際に大いに役立つ技術となりました。
スタジオパネルの課題
当LEDパネルスタジオの広さは床面の奥行きは5m、横幅8.5mと、壁面の高さが2.5mとさほど広いスタジオではありません。そのため、今回演者がパネル上に立った際、LEDウォールと演者のストロークが短い点が課題になりました。
フラットにパンフォーカスで撮影すると、演者の背景が後ろにパネルを置いている感が出てしまうので、それではXRで撮影している意味がなくなってしまい、試行錯誤する点となりました。


XR撮影であえてクロマキーを入れる
今まではXR撮影とクロマキーを別物として捉えていました。しかし、XR撮影にクロマキーをミックスした撮影もありなんだ、というのを今回の撮影で学んだ一つです。
ラストの引き画の際、どうしても人物と地面の接地感が出ない問題が発生しました。そのため、撮影では人物の周りだけグリーンをLEDに投影することで、ポストプロダクションで影等を入れてもらい、自然に仕上げることができました。



これも今後の手法の一つとして大きな成果だと思います。
この撮影があったからこその気づきが多くあり、実りある撮影であったことはとても実感しています。今回の撮影は、今後の案件に大きな還元ができるものと考えております。